出願手続及び審査の流れ(特許)

出願手続及び審査の流れ

フィリピンで特許権を取得するためには、出願から登録、さらに特許権の維持に至るまで、複数の手続を適切に進める必要があります。各段階における期限を適切に管理することが、特許権の取得及び維持のために重要です。

フィリピン特許取得までの流れ

特許出願

フィリピン特許出願は、パリ条約に基づく直接出願、又はPCT国際出願からフィリピン国内移行する方法により行うことができます。

通常、特許出願には次の書類が含まれます。

  • 特許付与請求書
  • 明細書
  • 特許請求の範囲
  • 図面(必要な場合)
  • 要約書
  • 優先権証明書(優先権を主張する場合)
  • 譲渡証書、委任状その他の必要書類(必要な場合)
グレースピリオド(新規性喪失の例外)

原則として、出願前に発明を公表すると、その公表内容が先行技術となり、新規性を失う可能性があります。そのため、展示会、学会、ウェブサイト、カタログ、営業活動、投資家へのプレゼンテーションなど、発明を公開する前に特許出願を行うことが望まれます。

もっとも、フィリピン特許法には、新規性喪失の例外(グレースピリオド)が設けられています。出願日又は優先日前12か月以内に行われた公開であっても、その公開が発明者本人又は発明者から直接若しくは間接的に情報を得た者によるものである場合には、新規性を失わない可能性があります。

PCT国内移行出願についても、グレースピリオドの適用可否を慎重に検討する必要があります。特に、公開日、公開内容、公開者、優先日及び国際出願日などを総合的に検討し、フィリピン法上グレースピリオドが適用されるかを判断することが重要です。

なお、グレースピリオドの制度は国ごとに異なるため、フィリピンでは保護される場合であっても、他国では新規性を失う可能性があります。そのため、国際的な権利取得を予定している場合には、公表前に特許出願を行うことが最も安全な方法です。

方式審査

出願後、IPOPHL(フィリピン知的財産庁)は、提出書類及び方式要件について審査を行います。方式上の不備がある場合には、補正の機会が与えられます。

公開

特許出願は、原則として出願日又は優先日から18か月経過後に公開されます。公開後、発明内容は一般に公開され、実体審査へ進みます。

実体審査の手続
  • 通常のフィリピン特許出願: 公開日から6か月以内に実体審査請求を行う必要があります。この期間内に請求しない場合、出願は取り下げられたものとみなされます。
  • PCT国内移行出願: 実体審査請求書を別途提出する必要はありません。ただし、国内移行日から6か月以内に実体審査手数料を納付する必要があります。
実体審査

実体審査では、審査官が以下の事項について審査を行います。

  • 新規性
  • 進歩性
  • 産業上の利用可能性
  • 明細書の記載要件
  • 特許請求の範囲の明確性及びサポート要件
  • フィリピン特許法その他関係法令への適合性

拒絶理由がある場合には、IPOPHLからOffice Action(拒絶理由通知)が発行されます。出願人は、所定期間内に意見書及び/又は補正書を提出して対応することができます。

分割出願

一つの出願に複数の発明が含まれる場合には、分割出願を行うことができます。特に、審査官から単一性違反(Lack of Unity)の指摘を受けた場合には、所定期間内に分割出願を行うことで、選択されなかった発明についても権利取得を目指すことができます。

早期審査

早期の権利取得を希望する場合には、早期審査制度を利用できる場合があります。利用可能な制度には、次のようなものがあります。

  • Patent Prosecution Highway(PPH)
  • ASEAN Patent Examination Co-operation(ASPEC)

要件を満たす場合には、審査期間を大幅に短縮できる可能性があります。

特許査定・登録

審査官が特許要件を満たしていると判断した場合には、特許査定(Notice of Allowance)が発行されます。所定の登録料及び公告料を納付すると、特許が登録され、特許原簿に記録されます。

不服申立て

最終拒絶査定(Final Rejection)を受けた場合には、その発送日から2か月以内に、特許局長(Director of the Bureau of Patents)へ不服申立てを行うことができます。

さらに、その決定に不服がある場合には、決定書受領日から30日以内に、IPOPHL長官(Director General)へ再度不服申立てを行うことができます。

年金の納付

特許権を維持するためには、年金を期限内に納付する必要があります。

フィリピンでは、最初の年金は出願公開日から4年経過後に納付期限が到来し、その後は毎年納付します。日本では登録時に第1年から第3年分の特許料をまとめて納付しますが、フィリピンでは審査中であっても年金の納付期限が到来する場合があります。そのため、登録前後を通じた適切な期限管理が極めて重要です。

重要: 所定の年金を納付しない場合には、出願が取り下げられたものとみなされたり、特許権が消滅したりする可能性があります。

TSUBAME IP Philippines のサポート

当所では、フィリピン特許に関するあらゆる手続きを一貫してサポートしています。

  • 出願戦略の立案及びグレースピリオドの適用可否の検討
  • 特許明細書の作成及び特許出願
  • Office Actionへの対応及び分割出願
  • 早期審査(PPH・ASPEC)の活用支援
  • 不服申立て、登録手続及び長期的な年金管理

当所では、フィリピンの知的財産専門家と日本の弁理士を含む国際チームが連携し、お客様がフィリピンにおいて強固な特許権を取得・維持できるよう、実務的かつ効率的なサポートをご提供いたします。