フィリピン意匠制度の概要

フィリピン意匠制度の概要

フィリピンでは、製品の外観に関するデザインを工業意匠(Industrial Design)として、フィリピン知的財産庁(Intellectual Property Office of the Philippines:IPOPHL)に登録することができます。

意匠登録の対象には、製品の形状、輪郭、表面形状などの立体的な特徴のほか、模様、線、色彩などの平面的な特徴が含まれます。例えば、家具、容器、包装、家電製品、車両、衣料品、アクセサリー、工業機器など、幅広い製品のデザインが保護対象となります。

意匠登録によって保護されるもの

フィリピンの意匠制度は、製品の技術的な機能そのものではなく、製品の外観に現れる装飾的または美的な特徴を保護する制度です。

登録意匠の権利者は、商業目的で、登録意匠を複製または実質的に複製したデザインを有する製品について、第三者が製造、販売または輸入することを禁止することができます

ブランド保護の手段 模倣品の流通を防止し、製品のブランド価値や市場における差別化を維持するために、意匠登録は重要な手段となります。

アイコン・画面デザインの保護

フィリピンでは、一般的な工業製品の外観だけでなく、画面表示、アイコン、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)などのデジタルデザインについても、意匠登録による保護を検討することができます。

IPOPHLは、意匠出願に関連するデザインとして、次のものを挙げています。

  • コンピューターやスマートフォンの画面に表示されるアイコン
  • スマートフォンアプリの操作画面
  • ソフトウェアのユーザーインターフェース
  • メニュー画面や設定画面
  • 電子機器のスクリーン表示
  • グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)
  • グラフィックシンボル、ロゴおよび表面模様

※IPOPHLは、アイコンについて「コンピューターシステムやモバイル端末の操作を補助するために画面上に表示されるピクトグラム」、GUIについて「文字による命令だけではなく、グラフィックアイコンや視覚的な表示を通じて、利用者が電子機器を操作するためのユーザーインターフェース」と説明しています。

デジタル製品の多面的保護 アプリケーションやデジタルサービスをフィリピンで展開する場合には、サービス名やロゴの商標登録に加え、特徴的な画面レイアウトやアイコンについて意匠登録を行うことにより、デジタル製品の外観を多面的に保護することができます。

登録要件

フィリピンで意匠登録を受けるためには、そのデザインが新規または独創的な創作であることが必要です。

原則として登録を受けることができないデザイン:

  • 技術的な結果を得るため、主として技術上または機能上の理由によって決定されるデザイン
  • 工業製品または手工芸品から独立して存在する、単なる表面装飾の図案
  • 公序、健康または善良な風俗に反するデザイン

IPOPHLは、登録可能な意匠について、新規性または装飾性が必要であると説明しています。製品を販売、展示したり、ウェブサイトやSNSに掲載したりするなど、出願前にデザインを公開すると、新規性が問題となる可能性があります。そのため、原則として、製品や画面デザインを一般公開する前に意匠出願を行うことが推奨されます

先願主義

フィリピンでは、原則として、同一または類似するデザインについて最初に出願した者が意匠登録を受けることができます

IPOPHLも、先願主義のもとでは、出願日が同一または類似する意匠についての優先的な権利を決定する重要な基準になると説明しています。

  • 優先権主張(パリ条約): 日本その他の国ですでに意匠出願を行っている場合には、パリ条約に基づく優先権を利用し、最初の出願日から6か月以内にフィリピンへ出願することができます。

出願先・必要書類

意匠出願は、フィリピン知的財産庁(IPOPHL)の特許局に提出します。現在は、IPOPHLの工業意匠電子出願システムであるeIDFileを利用したオンライン出願が可能です。

通常必要な書類および情報:

  • 出願人および創作者の情報
  • 意匠に係る製品または物品の名称
  • 意匠の図面または画像
  • 各図面の簡単な説明
  • 意匠の特徴に関する説明
  • 意匠登録を求めるクレーム
  • 優先権を主張する場合の優先権情報および関係書類
  • 委任状その他の必要書類

※IPOPHLによれば、意匠出願の明細書には、名称、各図面の簡単な説明、必要に応じた意匠の特徴の説明およびクレームを含めます。意匠の保護範囲は、主として出願時に提出する図面または画像によって特定されるため、保護を求めるデザインを明確かつ一貫して表すことが重要です。

審査および登録

出願後、IPOPHLにおいて、出願書類、図面、説明、手数料その他の要件について審査が行われます。

  1. 方式・内容の審査: 審査の過程で不備が認められた場合には、IPOPHLから審査報告または通知が発行され、出願人は指定された期間内に補正書、説明書または意見書などを提出する必要があります。
  2. 公開・登録: 出願が形式的な要件を満たした場合には、意匠出願が公開されます。その後、登録を妨げる情報が提出されず、必要な手続が完了すると、意匠が登録され、登録証が発行されます。

審査期間の目安 IPOPHLは、必要書類が適切に提出されている場合、外国出願人による意匠出願の平均的な処理期間を、おおむね6か月から8か月と案内しています。ただし、実際の期間は出願内容や補正の有無によって異なります。

保護期間

フィリピンにおける意匠権の最初の保護期間は、出願日から5年間です。

  • 更新手続: その後、5年ごとに2回まで更新することができます。
  • 最長保護期間: 適切に更新手続を行った場合の最長保護期間は、出願日から15年間となります。

意匠権を維持するためには、それぞれの期間満了時に、所定の更新手続および更新料の納付を行う必要があります。

フィリピンで意匠登録を行う重要性

フィリピン市場で製品やデジタルサービスを提供する場合、商標登録だけでは、製品の形状、容器、包装、画面レイアウトまたはアイコンなどの外観を十分に保護できないことがあります。

特徴的な製品形状、容器、包装、店舗用品、家具、機器、アプリ画面、GUIまたはアイコンなどについて意匠登録を行うことにより、模倣品や類似デザインへの対応を強化することができます

特に、製品の製造、販売、ライセンス、フランチャイズ展開、アプリケーションの提供またはフィリピン企業との取引を予定している場合には、市場投入や一般公開の前に意匠登録の必要性を検討することが重要です