フィリピンにおける著作権登録
フィリピンの著作権登録制度
フィリピンでは、著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生するため、著作権を取得するために登録は必要ありません。これは、フィリピンが加盟するベルヌ条約において、著作権の享有および行使を登録その他の方式に従わせてはならないと定められているためです。
また、現在ではASEAN加盟国はすべてベルヌ条約の加盟国であり、ASEAN各国においても、著作権は原則として著作物の創作と同時に発生します。そのため、日本企業がASEANへ事業展開する場合には、「登録によって著作権を取得する」という制度ではなく、「創作と同時に保護される」という考え方を理解しておくことが重要です。
著作権と特許権・商標権の違い
著作権は、特許権や商標権とは性質が大きく異なります。
- 特許権・商標権: 登録によって独占権を取得する制度
- 著作権: 創作性のある「表現」を保護する権利(他人による無断複製、翻案その他の無断利用を防止することを目的とする)
そのため、著作権侵害の判断では、一般に著作物への依拠性(著作物に接したこと)および実質的類似性が重要な判断要素となります。一方、第三者が著作物に依拠することなく独自に創作した場合には、結果として類似していても著作権侵害とならないことがあります。
フィリピン知的財産庁(IPOPHL)による登録・寄託制度
フィリピン知的財産庁(IPOPHL)では、著作権登録・寄託制度を設けており、著作者および著作権者に関する情報を公的に記録することができます。
💡 ポイント
登録は権利発生の要件ではありませんが、権利管理や紛争時の証拠確保のために広く利用されています。2025年には約6,700件の著作権登録・寄託が行われ、そのうち約10%はソフトウェア、ゲームおよびモバイルアプリに関するものであり、IT分野における利用も拡大しています。
著作権の保護期間
著作権の保護期間は著作物の種類によって異なりますが、一般的な著作物については、著作者の生存期間および死後50年間保護されます。
登録の対象となる著作物
フィリピンでは、創作性を有するさまざまな著作物について著作権登録を行うことができます。主な対象は次のとおりです。
- コンピュータソフトウェア・モバイルアプリ
- Webサイトのコンテンツ
- 書籍、論文、記事、マニュアルなどの文書
- 写真、イラスト、グラフィックデザイン
- 音楽、映像、動画
- 建築著作物
- その他の創作性を有する著作物
近年では、ソフトウェア、デジタルコンテンツ、Webサービスなどの登録ニーズが高まっています。TSUBAME IP Philippinesでは、日本企業および海外企業による各種著作物の著作権登録・寄託をサポートしています。
著作権登録のメリット
著作権登録は権利取得の要件ではありませんが、実務上は次のようなメリットがあります。
- 公的な記録の保持著作者および著作権者に関する情報を公的に記録できる
- 有力な証拠の確保将来の紛争に備え、権利の存在や創作時期を示す有力な証拠資料を確保できる
- スムーズな権利管理ソフトウェアやデジタルコンテンツなどの権利管理を円滑に行うことができる
- 取引・契約時の信頼性向上ライセンス、事業提携、M&Aなどにおいて権利関係を明確に説明しやすくなる
重要な著作物については、著作権登録・寄託を活用することにより、権利管理の透明性を高めるとともに、将来の紛争リスクの低減につながります。
TSUBAME IP Philippinesでは、フィリピンにおける著作権登録手続から、その後の知的財産戦略まで総合的にサポートしています。
