優先権制度(パリ条約)
フィリピンは、工業所有権の保護に関するパリ条約の加盟国です。
そのため、パリ条約加盟国等において先に意匠登録出願をした出願人又はその承継人は、その先の外国出願に基づく優先権を主張して、対応する意匠登録出願をフィリピンに行うことができます。
優先権を有効に主張するためには、原則として、対応する外国出願の最先の出願日から6か月以内に、フィリピンに意匠登録出願を行う必要があります。
優先権が有効に認められた場合、先の外国出願の日が、フィリピン出願における新規性等の判断の基準日となります。
優先権が重要となる場面 先の外国出願からフィリピン出願までの間に、類似するデザインが公開された場合や、第三者が類似する意匠を出願した場合に、優先権の主張が重要となることがあります。
優先権主張の要件
フィリピン出願において優先権を主張する場合には、出願時にその旨を明示し、先の外国出願に関する情報を記載する必要があります。
- 通常必要な情報:
- 先の出願が行われた国又は知的財産庁
- 先の出願の出願日
- 先の出願の出願番号
- 優先権を主張する出願人の情報
- 優先権の基礎となる意匠の内容
また、先の外国出願の認証謄本をIPOPHLに提出する必要があります。優先権証明書が英語で作成されていない場合には、英訳の提出も必要となります。
提出期限: フィリピンの規則上、先の外国出願の認証謄本及び必要な英訳は、原則として、フィリピン出願日から6か月以内に提出しなければなりません。
先の外国出願との対応関係
フィリピン出願に係る意匠は、優先権の基礎となる先の外国出願に開示された意匠と対応している必要があります。
フィリピン出願に、先の外国出願には開示されていない重要なデザイン上の特徴が追加されている場合、その追加部分については優先権が認められない可能性があります。
そのため、出願前には、特に次の点を確認することが重要です。
- 先の外国出願の図面とフィリピン出願用図面との相違
- 意匠が適用される物品又は製品の表示の変更
- デザイン上の特徴の追加又は削除
- 実線、破線、陰影、写真その他の図面表現の相違
- フィリピンで保護を求める部分が、先の外国出願に十分に開示されているか
- 各図面の間に矛盾がないか
日本での「部分意匠」出願に関する注意: 日本で部分意匠として出願した意匠をフィリピンに出願する場合には、図面の実線部分及び破線部分の扱いがフィリピン実務に適合するかだけでなく、フィリピンで保護を求める内容が日本出願に開示されているかも確認する必要があります。
6か月の優先期間
意匠の優先期間は、対応する外国出願の最先の出願日から6か月です。
- 具体例: 日本における意匠登録出願の出願日が1月10日である場合、パリ条約上の優先権を主張してフィリピンに出願するためには、原則として同年7月10日までにフィリピン出願を行う必要があります。
6か月の期間を経過した後でも、フィリピンに意匠登録出願を行うこと自体は可能です。ただし、その場合には、原則として先の外国出願に基づく優先権を主張できず、フィリピン出願の実際の出願日を基準として新規性等が判断されます。
優先権を失った場合の悪影響: その結果、先の外国出願後に行われた次のような行為が、フィリピン出願の登録可能性に影響することがあります。
- 製品の販売又は市場投入
- ウェブサイト、SNS、カタログ等への掲載
- 展示会又は発表会での公開
- 広告又は報道発表
- 第三者による同一又は類似の意匠の出願
- その他、意匠の内容を公衆に利用可能とする行為
フィリピンへの意匠出願を予定している場合には、6か月の優先期間満了直前まで待つのではなく、余裕を持って準備を開始することが重要です。出願前には、図面、出願人情報、意匠に係る物品の名称、優先権情報、必要な英訳及び優先権証明書を確認する必要があります。
